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1993年 12月の手紙
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カレンダーの最後の1枚になりました。今年も後一か月弱！！本当に速いですね！「師走」の語源は「為果す」と言う説があるそうです。「一年を通してやってきたことの締めくくりをする月」そんなような意味なのでしょうか？！！でも現実に考えるとたった一年で何かをしとげて結果をだすなんてほとんど無理のような気がします。人間の人生もまるでトランプのゲームのように年末になったら結果をだしあって、また1月から札を全部代えてやり直せたらもう少しすっきりと生きられるのかもしれませんね！
学校にいってたころは一年間のサイクルをはっきりと感じられたのですが、もうずっと一年がひとつの丸にはみえなくなっています。いくつもの気がかりなこと、大事なこと、楽しみなこと、心配なこと、そんなことが心の中にたくさんあって、そのひとつが片づけばまたつぎのできごとが浮かび上がってきて、それに伴ういろいろな人間関係も複雑に絡み合っていてどこが始まりで、どこが終わりなのか分からなくなっているのです。でも何年かたって振り返ってみると、ちゃんと節目は有って自分なりのいくつかの時代が始まりと終わりを繰り返しているのが見えてきます。それぞれの時代には忘れられないできごとや、人との出会いが刻まれていて、あのことがあった時、あの人に出会った時こす時とかそんな風に一番印象的な出来事が逆にその年月を思いおこさせてくれます。なんだか不思議な気がします。
11月10日の3回目のソロコンサートもお陰様で終えることができました。本当にたくさんの方々に支えられている喜びを、幸せをかみしめています。私の今年の記憶はこのコンサートを思い起こす時、蘇ると思います。これからもこの感謝と感激を忘れず歌っていきたいと思っております。この一年ありがとうございました。そしてこれからもどうぞよろしくお願いします。素敵なクリスマスをお過ごし下さいネ！！
＊12月＊スケジュール＊
8日（水）蟻ん子 ＊四谷＊
9日（木）セントアベニュー＊六本木＊
10日（金）鳩ぽっぽ＊銀座＊
15日（水）なかがわ＊赤坂＊
16日（木）ウナカンツォーネ＊四谷＊
17日（金）鳩ぽっぽ ＊銀座＊
29日（木）ベルエボック＊吉祥寺＊
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1993年 11月の手紙
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秋風のころになりました。東京の街路樹もすこしずつ色づき始めて、日に日に秋も深まっているようですネ。昨日、写真屋さんの店頭に年賀状の申し込みのポスターが張ってありました。もうこんな時期になってしまったんですネ！本当にあっという間に1年が過ぎていってしまいます。まだまだ先の気分でいた私の3回目のソロコンサートもあと1か月なくなってしまいました。
毎回、毎回早くから準備を始めてゆっくり落ち着いてやりたい、と思っているのに、いつもやっぱり今頃なってバタバタとしてしまいます。皆様のお陰様でチケットの方もあらかたお買い上げ頂きました。ありがとうございます。あとはいいステージをお届けするだけなのですが体調を崩してみたり、精神的に落ち着かなかったりつくづく自分自身の弱さを感じています。よくお相撲さんが「勝っても負けても自分の相撲をとるだけだ」っていってますけど、私も今の自分にできることを精一杯やりたい！と思っているのに、何か結果ばかりを思った時にバランスが崩れて、結局できることさえできなくなってしまってしまうのです。いろいろなことにもっと、もっと、自然に自由に穏やかな静かな心で向かい合って生きていきたい思っているのですが、私の心の中には私のコントロールできない自分がいて、思ってもいないようなことに動揺したり心が乱れたりしてしまうのです。そんなもう一人の自分に縛られてしまって・・バカですね！一番の敵はやっぱり自分自身なのかもしれません。「無心」とか「平常心」とか言い尽くされた言葉が身にしみます。
あと3週間、精一杯やってみるつもりです。そしてステージでは肩の力が抜いて静かな穏やかな笑顔で皆様をお迎えできれば、本当に幸せだなあーと思っています。いろいろ大変な世の中の状況で皆様お忙しい時だと思いますが、ぜひおでかけくださいませ！！
今回のテーマは「夢」木漏れ陽の下の日だまりの中にいるような柔らかな暖かい気持ちをもってお帰りいただけるステージを創りたい！と話合っています。ピアノ、ベース、チェロ、フルート、パーカッション、アコーディオンの伴奏でアコースティクな、懐かしい音楽を創ってもらいました。11月10日（水）、東邦生命ホールでお待ちしております。
東京もそろそろ枯葉の季節ですね。北国ではもう雪の便りも聞えているようです。冬もそこまできているのでしょうか？これから寒くなって来ます。おカゼなどお気をつけて、御自愛くださいませ！！
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1993年 10月の手紙
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はっきりしない天候のまま秋がやって来てしまいました。じりじりとしたあの夏の日ざしを浴びなかったせいでしょうか、フッと今がどの季節なのか分からなくなってしまいます。秋の長雨と言いますけど、このまま秋もいってしまうのでしょうか？！！
先日、ある方の山荘のオープンのパーティーにお招きいただいて青森の五所川原で歌ってきました。ちょうど今はりんごの木が真っ赤な実をたくさんつけていて車で5分ほど続くりんご畑の中は童話の世界の様でした。緑の葉っぱに茶色の木々、そしてバランスよくちりばめられたりんごの赤！！自然はいつも素敵な絵画を見せてくれます。ブナ林に囲まれた山荘のテラスに小さな木製のベンチを持ち出してしばらく風の音を聞いていました。
ずっと耳をすますと夏の名残のせみの声と、もう秋を告げる虫たちの声が聞こえてきて、見えないところでちゃんと夏から秋へとバトンが渡されているのを教えてくれます。風に揺れるコスモスの花ばな、栗の木に実ったまだ緑色のいが粟、紫のあけぴの実、目をこらすと緑に埋もれているいろいろなものが見えてきて、山はもうすっかり秋の準備ができている様です！！眠っていた体中の五感が目覚めいって、感じられなかったものが少しづつ見えてきます。時間がゆったりと流れていって、回りのできごとがスローモーションをかけた様に、ゆっくりと過ぎていきます。東京での生活は毎日かけ足で過ごすばかりでいろいろなものを見落として生きているのかもしれませんね！！思いっきり両手を広げて深呼吸しながら「何をバタバタやってるのかしら？？」なんて独り言を言っていました。
11月10日（本）の渋谷の東邦生命ホールでのソロコンサートがだんだんに近づいてきます。後何日、あと何枚と、チケットの束とカレンダーとに、にらめっこしている毎日です。暖かいご声援や久しぶりの方からのお便りか一番の栄養剤で、少しでもいいステージをお届けできるよう！！精いっぱい努力するつもりです。お忙しい時とは思いますが、ぜひ聞いて頂ければとても幸せです。ハガキでもお電話でもご一報下さい！！どうぞよろしくお願いします。『夢十夜』という題のとおりステージいっぱいに「夢」を繰り広げられたら、・・・！！と思っています。
世界的な不況の嵐は今年の台風の様に全部日本に上陸する様ですネ！！前の台風の被害が復興する前に次のかやって来て！たいへんな時ですか、どうかお体に気をつけて頑張ってください！！お心がなごむような歌が歌えるといいのですが・・・！！
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1993年 9月の手紙
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短かった今年の夏も終わろうとしています。普通なら「暑いですね」なんて挨拶代りに交わしあって、秋の訪れを心待ちにしている頃なのに、今年は夏の記憶がなにもなくて時間が止まってしまった様な気がします。春、夏、秋、冬とちゃんと季節が巡っていってくれてその季節、季節を味わい、楽しみ、次の季節を待ち・・・そんな当たりまえのことがどんなに素敵なことかあらためて思います。北海道の地震や九州の大雨etc今年は天災も続きました。折から原爆や戦争の特集番組も多く、各地での津波や土砂崩れの報道と重ね合わせて、人の力の無力さと、傲慢さや愚かさをかんがえずにはいられませんでした。
「真っ暗な宇宙の中で地球は美しい青いベールに包まれたたったひとつのかよわい星だ」と言っていた宇宙飛行士の言葉を思い出しています。この世界的な異常気象も私たちへの警鐘のような気がするのです。
遅れていた11月10日の私の3回目のソロコンサートのちらしがやっとでき上がりました。今回のテーマは「夢」・・神様から私たちが与えられた一番素敵な能力は「夢を描ける」ことのように思えるのです。静かに目を閉じて今一番してみたいこと、行ってみたい所、会いたい人できるかぎりの素敵なことを思い浮かべてみませんか？！！それだけでとても幸せな気分になってきません？？そんな「夢」をステージいっぱいにのせてみたいと思っています。
題は夏目漱石の短編から『夢十夜』としました。ピアノ、チェロ、フルート、アコーディオン、ベースの編成でアコースティクな音楽をお届けしたいと思っています。ホールは渋谷の駅から3分ほどの所にある東邦生命ホールです。シャンソンを歌い出して13年が過ぎていきました。こうして続けているコンサートが私の人生の唯一の足跡だと思っています。ぜひ聞いていただければ、とても幸せです。お申し込み用のハガキも同封させでいただきました。あと二か月半、私なりに精一杯いいステージをお届けできるよう努力するつもりです。どうぞよろしくお願いします。
今回のコンサートはどこの企画会社も頼まず、一人でやってみるつもりです。「オフィス友納」という銀行口座やハンコを作りました。真新しいハンコと400枚ほどのチケットの束を前に緊張しています。これからパンフレットに出して頂く広告etcお願いに上がらなくてはいけません。ご協力ご紹介いただければ幸せです。
これから残暑がやって来るのでしょうか！？不順な天候で体のバランスを崩していらっしやる方も多いようですネ！！どうぞご自愛ください！！
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1993年 7月の手紙
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毎日、雨の日が続いています。雨雲に覆われた東京の空はいつもよりずっと低く感じられて、なんとなく息苦しいですネ！でも細長い日本列島の端から、もう梅雨明けも始まって夏のギラギラとしたあの太陽もすぐそこまで来ているようです。この梅雨のうっとうしさがあるからこそ、夏を迎える喜びがふくらむのかもしれませんネ！！
最近ほんの少し（？）年をとったせいでしょうか？夏がまぶしすぎるようになってしまいました。つい3、4年前までは今ごろの季節になると心が弾んできて夏の予定を考えるのにワクワクしていたのですけど・・この頃はどうしたら日焼けをしないですむかしら？なんてすぐ考えてしまって！
ある化粧品会社がおこなったシンポジュームの中で「年をとるということを『人間の熟成』と、とらえたら！」というテーマが出されていました。正直なところ、この頃年齢を痛感することが多いのですけど、それは「嫌だナァー」と思うことばかりではなくて「こんな感じ方もあるんだ！」という発見だったり、今まで気にも止めなかったことの中にとっても素敵なことを見つけた驚きだったするのです。昔読んだ本を読み返してみても、あの頃とはまったく違う感じ方や思い入れができて、「アーこの作家はこんなことを言いたかったんだ」なんて初めて解った気がすることってありませんか？
たとえば「夢」という言葉ひとつとっても、子供の頃からずっと今までの間で随分意味が変わってきていませんか？子供の頃の夢はたくさん可能性のある分だけ「希望」に近かったような気がするのです。だんだん自分の生きていく場所や仕事や、いろいろなことが決まっていくにしたがって、その人生が色濃くなればなるだけ選択の幅は狭くなっていって一生のうちに実際にできることの量って限られていきます。そうなって初めて見れる「夢」ってあると思うのです。現実が逃れられなくなればなるだけ、その裏側のイメージの世界はどんどん自由に広がっていって・・「夢」は「想像する遊戯」みたいなものになっていくような気がするのです。年をとるのもなかなかおもしろいなあって！！この頃思っています。
7月28日（水）に夏のコンサートを蟻ん子（四谷）で開きます。今回はラテンのナンバーも入れパーカッションのリズムにのせて夏らしいステージを！と思っています。フリードリンク付き6,000円のチケット制になっております。ぜひ、お出かけくださいませ！！
これから暑さも本番！！お体にお気をつけて、ご慈愛下さいネ！！
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1993年 6月の手紙
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梅雨入りが始まって細長い日本列島もだんだんに雨雲に包まれていくようです。今日も1日雨が降っています。しばらくはうっとうしい季節が続きますね！！2、3日前道端で紫陽花の花を見つけました。まだ小さな花びらを少し開いただけで、いいお天気の日だったので日差しがとてもまぶしそうでした。紫陽花の花だけはお日様が似合わない気がしてこの雨に濡れてあの紫陽花がいきいきと花を咲かせているのが目に浮かぶようです。ちょっと傘をさして見にいってこようかしら・・・・！！！
5月の半ばに小淵沢にいってきました。遠く甲斐駒ケ岳と南アルプスを背景に新緑の緑と野の花ばな、柔らかな木漏れ日、頬に触れるそよ風、１枚の絵の中にいるような快い旅でした。散歩の途中に見つけた小さなペンションで、庭いっぱいに咲いたタンポポやすみれやレンゲ草に誘われてしばらくみとれていると、そこのオーナーのご夫婦が招き入れて下さいました。窓辺には名も知らない野の花がたくさんいけられて、壁にはドライフラワーのコサージュ、ぎっしりと詰まった本棚とピアノ、居間の大きなテーブルで奥様手作りのケーキとご主人が焼いた少しいびつなカップでコーヒーをいただきながら、窓越しに見える山々の名前etc聞いたりして・・・・穏やかな本当にぜいたくな時を過ごしました。都会育ちの私でたぶん都会でしか生活できないと思っていたのですけど、この頃あんな生活もいいなあーと思ってしまいます。
昔読んだ本をまたひっぱりだして読み直したりすると、その頃と全然違う思い入れの仕方をしている自分に驚かされることってないですか？？！！自分ではそんなに変わってないつもりなのに、心のどこかが少しづつ変わっていっていて気がつくと思わぬものに感動したり、涙したりしていて・・・！！東京を離れた生活なんて考えたこともなかったのですけど、あんな風に愛する人と好きな土地で好きな物に囲まれて、おたがいに大事なものを大事にして、本を読んだり、ピアノを弾いて歌を歌ったりして、語りあって暮らせたらなんて素敵なんだろう！！ふっとそんな風に思っている自分に驚いています。これを年をとった！！というのかしら？？！！・・・
来月7月28日（水）に四ツ谷の蟻ん子で夏のコンサートを開きます。（チケット＊6,000yenフリードリンク）夏らしく楽しいリズミックな曲を！！と考えております。その後はミニコンサートはしばらくお休みして11月10日（水）の東邦生命ホールでの3回目のソロコンサートに向けて一生懸命邁進する積もりです。聞いていただければ、本当に幸せです。どうぞよろしくお願いします。雨の夜は何となくノスタルジックな気分になりますネ！！
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1993年 5月の手紙
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風薫る5月と言うには、ちょっと肌寒い日が続いています。梅が咲いて、桜が咲いて毎年だと道端のつつじがいっせいに咲き出してちゃんとバトンタッチしてくれるのに、この寒さのせいでしょうか？つつじもまだ緑のまま、新緑のあおさも何となく寒々と見えてしまいますね！今年は3月にとても暖かな日が続いたり、何だか季節がいったり来たりしていて、変ですネ！
つつじの代わりというわけでは無いのですけど、先週から銀座の裏通りにチューリップの小道ができているのを御存じですか？道沿いにかなり長く続いていて、かわいい花たちが風に揺れてとてもきれいです。ぜひ御覧になって下さい！！
チューリップには想い出があります。父の仕事の関係で小学校1年までの3年ほどを私は新潟で過ごしました。3才から6才までいたわけですから、私の記憶も新潟から始まっています。初めて雪に驚いたことも、初めての海がとても怖かったことも、初めて1人で庭のいちじくの木に登れて嬉しかったことも、私の「初めて」の記憶の後ろにはいつも新潟の風景が続きます。初めて一面の花畑をみたのも新潟でした。どこか郊外の公園か何かだったとおもうのですが、一面のチューリップ畑でちいさかった私はしゃがむとちょうど顔のあたりに花びらが揺れていて、何だか自分までお話の中の不思議な国にいるような気がして、しばらくいっしょに揺れていました。それからしばらくは絵の中のお花はいつもチューリップで「好きなお花はチューリップ」と、それは随分大きくなってからも答えていた気がします。
最近はお花ならなんでも好きになってしまいましたけど、それでもチューリップをみるとなんともいえない懐かしいあったかな気持ちがわいてきます。よく人は年をとると生まれ育った場所に帰りたくなると言いますけれど、もしかしたら私もずっと年をとったら私の「初めて」がいっぱい詰まっている新潟に帰りたくなるのかもしれませんネ？！！
春のコンサートもお陰様で終えることができました。ありがとうございます。その時にもお知らせしたのですが、11月10日（水）に渋谷にあります、東邦生命ホールで3回目のソロコンサートを予定しております。400人程のホールですが、久しぶりの大きな舞台なので、年に4回のペースで積み重ねてきた小さなコンサートでの成果が少しでも出せればと、スタッフの方たちといろいろと考えております。何かご意見がございましたらぜひお聞かせ下さい！！
不順な天候です。カゼetcにお気をつけて下さいネ！！
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1993年 4月の手紙
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「暑さ、寒さも彼岸まで」という通り、お彼岸と共に春がやって来た様です。空もお日様も風も空気も昨日までとはすっかり違って思えるのです。頬に暖かな風が触れていく時柳の新芽が目に眩しい時、日だまりの空気の柔らかさ、そして何と言っても大好きな桜が咲き出した時、「アー春がやって来た！！」と体中が騷ぎ出すのです。もしかしたら人間はずっと昔冬眠していたのではないかしら？？と思うほど、体の中で眠っていたどこかが 目覚める気がしませんか？？！！
4月28日（水）に四ツ谷の蟻ん子で春のコンサートを開きます。今回のコンサートではラボエームを歌うつもりです。シャンソンを歌い出してラボエームはずっととても歌いたい歌でした。20才のころの思い出を歌ったこの歌ですが、もちろんもう随分前のことになっているのに、何となくまだ早いカナ！？？と思っていたのです。私の20才のころは芝居、芝居に明け暮れた毎日でした。大きすぎる夢を背負って、それでも不思議なくらい疲れを感じないで、焦りや不安を感じる時をもてないほどがむしゃらに走っていた気がします。
それから5年ほどして自分の才能の無さや、夢の重さに絶えられなくなって、私は芝居の世界を離れました。その頃の仲間たちは時々テレビに出てくる程売れてきている人もいるし、いまだに無名の役者としてあのころと同じギラギラした目で生きている人もいます。何となく戦友の様で、めったに会わないのですけど会う度に勇気付けられたり、その時々の自分を反省させられたり未だに1番気になる仲間たちです。
昨年の12月にそんな仲間の1人があっけなく病死してしまいました。私より少し年上の彼女はいつも笑顔を絶やさない人で初めて芝居の世界に入って戸惑っていた私は彼女の優しい笑顔に随分助けられた気がします。その後も彼女はちっとも売れなかったのにけしてあきらめなくて、いつも会うとあの頃と同じ目で夢を語っていました。もうやめればいいのに、何て思いながらも彼女が続けていてくれることが、嬉しいような後ろめたいような複雑な気持ちになったものでした。突然彼女がいってしまって、何となく私の中でも1つの時が遠くにいってしまった気がしています。
彼女といっしょのあの頃を思いながらラボエームを歌ってみるつもりです。もしご都合がつきましたらぜひ聞いてください！！今回はピアノ、チェロ、ベースのトリオの伴奏に乗ってお届けします。（チケット7,000yenフリードリンク付き）
東京の桜も咲き出しました。いよいよ春、本番ですネ！！
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1993年 3月の手紙
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寒い冬もそろそろ終わりを告げ、本当にひと雨ごとに春の足音が近づいてくるような気がするこの頃ですネ！お元気ですか？
先日、梅のお花見をしてきました。世田谷にある羽根木公園の小さな山中が白、赤、桃色の梅の花に包まれて大きなブーケの様になっていて辺りに漂う甘い香りと共に夢の世界に誘ってくれる様でした。日だまりのベンチに腰掛けて空を見上げると青い空に色とりどりの梅の花が浮いている様に見えて、フーッと深く息をするとはく息といっしょに体中の悪いものが全部出ていって、新しいエネルギーが満ちあふれ来る気がして「アー生きていて良かった！！」なんて思わずつぶやいてしまいました。回りにいる人たちの顔を見渡しても誰もみんなとても穏やかな顔をしていて、全然知らない人なのに目が合うとついつい「きれいですね！」なんて話ししかけ合ってしまって、それかとても自然なことに思えるのです。
東京にいると、よっぽどのことがないと知らない人と口をきく機会はないような気がします。考えてみると、すれ違ったり、目が合ったりしても言葉を交わさない事の方がずっとおかしいのかもしれませんネ！先日の新聞にも載っていたのですけど、最近うつ病や神経症になる人が急増しているそうです。その治療のためのセンターもはやっているそうで、そこに行くと暗い部屋に静かに横になって、小川のせせらぎや、海辺のさざなみや、鳥のさえずりのテープを聞いて、森林や花の香りの中で時を過ごすのが一番の治療だそうです。病気の原因のほとんどが人間関係のストレスなのに、その治療方法が自然のシュミレーションの中で過ごす事だと言う事を思っても、人間にとって自然がどんなに大切なものなのかあらためて考えさせられます。確かにあの美しい梅の林の中にいるとだんだん肩の力が抜けてきて、いろいろ有るけれど、こうして元気でいられて空が青くて日だまりが有って花の香りに包まれて・・・・・それだけでも生きていられる事を感謝したい気になってしまいます。誰もが同じような穏やかな気分になっていって、きっと相手もそう思っているんじゃないかなという安心感が思わず言葉を交わしあわせてしまうのかもしれませんネ！
これから桜が咲いてつつじが咲いてすみれやパンジー、スィートピー、チューリップetc・・東京の街にさえ花の季節がやって来ます。私も思いっきり深呼吸をして自然のエネルギーをたくさんたくさん吸い込んで、優しい、あったかな歌をお届けしたいナーと思っております。
春は大好きな季節です！！何となく心が弾んできませんか！！？？
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1993年 2月の手紙
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お正月気分が抜けないうちに、今年も半月たってしまいました。1月は1年の始まりそして今月の30日に誕生日を迎える私にとっては今の年齢の最後の1か月です。お正月も含めてたくさん自分の時間を持てて、この半月ほど静かに自分と向かい合って過ごしました。
よく画家が自画像を描くように絵は描けないけど心の中に自画像を描いていたような気がします。でき上がった自画像は正直なところ、あんまり気にいらないものでした。一見穏やかそうに見えるけど、なんとなくパワーがなくて、充実感がなくて、気の抜けた風船の様で、ちっとも目が燃えていないのです。このごろ随分いろいろな物事を許せるようになった気はしていました。人の生き方もそれぞれに認められるし、あんまり気にならないし「マァーいいんじゃないの」なんて言葉をいつも心の中でつぶやいていて、そういえば人と言い合ったり、けんかをしたりしたのはいつだったのか？忘れてしまうほど前の記憶になってしまっています。すこしづつ大人になったのかしら？！！なんて思っていたのですけど、なんだかそうではない気がしてきました。
5年ほど前、あんまりいろいろな事に心が揺れるので瞑想の学校に通ったりしたことがありました。結局あんまり解決にはならなかったのですけど・・・あのころ自画像を描いたらもっとゆがんだ顔をしていたかもしれないけど、目だけは輝いていたような気がするのです。心が燃えていたら、何かにどうしてもこだわっていたら、こんな気分だけですごせるはずがないのでは？？なんで思いだしています。
最近テレビなどでマラソンとか、お相撲とか、ラグビーとか、その瞬間、瞬間に命を燃やすようにかけている姿を見ると、涙が溢れてきます。安物のドラマでも何かに必死になっている人の姿を見ると、涙が止まらなくて、バカだナァーなんて思っていたのです。きっと私の心の中のどこかが「もっと燃えたい！！」「もっと必死で生きたい！！」と、叫んでいるのかもしれません。時は本当に川の流れのようです。なにもしないでもその流れに乗っていれば生きていく事もできます。たとえ流れに添って生きるにしても、逆らって生きるにしても自分の力で精一杯泳いで生きていたい！！と思っていたのに今の私は流れに身を任せてフワフワと浮いているのかもしれません。
始まったばかりの、この1年、少しムキになってみよう！！と思っています。本当に大切なもの、大事にしたい事にもっと、もっとこだわってみるつもりです。心の中がすっかり冷めてしまわないうちに！！！
一番寒い時期になります。私は経験済ですが、今年のカゼはたいへんです。どうかお気をつけくださいネ！！お会いできる日を楽しみにしています！！！
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1993年 1月の手紙
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あけましておめでとうございます。
1993年のお正月いかがお過ごしでしたか？今年は4日から仕事始めの方も多くて、何となく短い気がしますネ！
1月1日は不思議な1日です。過去と未来との境目の今日という日、毎日の生活の中では時間は気がつかないうちに未来から過去へと変身していってしまいます。でも1月1日だけはそんな時の流れが止まっているような気がするのです。振りかえるとスライドの様に過去のいろいろな思い出がよみがえってきて、そのひとコマ、ひとコマの中に笑ったり、泣いたり、怒ったり、いろんな私がいて、そんな私を包んでくれる人たらがいて、忘れられないでき事があって、そんな点々を繋いでいつの間にか私の後ろに道ができています。その時は随分思い掛けない事が起こったと思えた事も、振りかえって見るとごく自然に私の道の中に納まっていて・・・自分の歩いてきた後に道ができる！なんていった人がいますけど、その通りで、目のまえに広がる未来を見ても何も見えなくて明日の1歩をどこに出すのさえも分からないのですけど、きっと明日になればどこかに1歩を出して、また私の道が気がつかないうちにつづいていくはずです。
目を閉じるとそんな過去と未来の境目にたっている私の姿が浮かびます。今年はどんな時が過去へと変わっていくのでしょうか？？！！！
昨年は12月25日に仕事がだいたい終わったと思ったとたんにカゼで倒れてしまいました。せっかくのお正月のお休みもほとんど寝ていて、サンザンでした。そんなわけで今年の目標は何と言っても丈夫な体をつくる事！！！「衣食足りて・・・」ではないですけど、本当に健康でなくては何にもできないとつくづく思います。今年はたくさん食べて、運動して、う一んとたくましく（？）なるつもりです。！！
年賀状でもお知らせしましたが、11月に3回めのソロコンサートを計画しています。今ホールを捜すしたりスタッフと打ち合わせたり、少しつつ動きしだしています。また、はっきりとした事が決まりましたら報告させて頂きます。どうぞよろしくお願いします。
30日で？？才の誕生日を迎えます。今年も吉祥寺のベル＊エポックで歌いながら、過ごす事になりました。もしお時間が取れましたら、ご一緒に過ごして頂ければ幸せです。これから寒さもいよいよ本番です！！おカゼなどお気をつけ下さい！！